「自分のこだわり」と「効率」を比較する学び

算数の時間、たけちゃんは2年生の先取り学習として「グラフ作成」に挑戦しました。 クラスの友達が食べたい料理(カレー、ラーメン、寿司、ハンバーグ)が書かれた合計24枚のカードを数え、グラフに「○」を書き入れていく問題です。


ここで、たけちゃんの強い「こだわり」と、それを受け止める個別指導の真髄が見られました。

この学習で大切なことは,重なりや落ちなくグラフに表すということです。そのため,最も効率的な方法は,「カレー,ラーメン…」というように,札を順番にチェックしながら,グラフに表していく方法です。

実は,九九をやっている関係で,2年生の他の単元に割く時間が短くなっているので,ここは効率的な方法を教えて授業を進めようと私は考えていました。

そこで,はじめから最も効率的な方法でたけちゃんにグラフ化させようと考えました。

しかし,私がさせようとした方法に対して,たけちゃんは,

「僕がやりたいのと違うな。予想と違うな。」

と言ったのです。たけちゃんは、カードを1枚ずつ順番に見ていくのではなく、「まずカレーだけを全部探してチェックする」という、自分の決めたカテゴリー順のやり方で進めようとしました。

そこで,ここで大切なのは、教師がたけちゃんのやり方を「間違いだ」と否定しないことです。私はまず、たけちゃんのやり方で最後までやらせてみました。 その後で私の教えたやり方も一緒に試してみました。その上で、どちらが「早く、正確に」できるかを本人にたずねました。

教師:「(時間を測りながら)今の順番にやるやり方は5分。たけちゃんのさっきの方法は12分。なんでこっちの方が早いと思う?」

たけちゃん:「……(考えている)」

教師:「たけちゃんのやり方は、何度もカードを見返したり、間違えて消しゴムを使ったりしてたから時間がかかったんじゃないかな? 」

たけちゃん:「納得いった。」

単に「こうしなさい」と押し付けるのではなく、子ども自身が体験を通じて「こっちの方が便利だ」と納得するプロセスを大切にしています。

「こだわり」は社会を生き抜く強みになる

指導の後半は、お母さんとの対話の時間です。お母さんは、たけちゃんの「自分のやり方にこだわる姿勢」が、時に学校生活で衝突を生まないか心配されていました。

そんなお母様に、私は次のようにお話ししました。

教師:「こだわりがあって自分の考え方を試したいって思う気持ちって、むちゃくちゃいいことだと思うんですよ。……納得いかんかったら無理やりやらされても嫌だ、っていうこだわりが強いのは、決して悪いわけじゃない。こだわりが強い方が、社会に出て僕はいい人生を送れると思います。」

「言われたことを素直に聞くだけの人間ではなく、自分で考えられる人材が求められる時代です」。私は,心からそう思っています。

個別指導の場は、単に算数を教えるだけの場所ではありません。その子の持つ「こだわり」や「性格」を一つの才能として捉え、どう伸ばしていくかを保護者様と共に考えるパートナーでありたいと考えています。教育とは、知識を流し込むことではなく、子どもが本来持っている力を引き出すこと。たけちゃんとの時間は、私にとっても「考えることの尊さ」を再確認させてくれる、かけがえのないひとときです。

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