たけちゃんとの出会い
「うちの子、算数でつまずいているみたいなんです」
そんな相談を受けたのは、2025年の夏休み前、7月のことでした。
相談をくださったのは友人のお子さん――小学1年生の たけちゃん。人懐っこくて、笑顔がとってもかわいらしい男の子です。
気になったのは「数をまとまりで見る力」
まずはお母さんが持ってきてくれたテストやワークシートを見てみました。
そこには、たし算・ひき算が10問ほど並んだプリントが。前半はほとんど正解できているのに、後半は無回答のまま。どうやら時間切れになっているようでした。
「これは…もしかして 数をまとまりで見る力 に課題があるのでは?」
そう感じました。
「100まで数えられる=算数が得意」ではない
入学前のお子さんを持つ親御さんから、よくこんな声を聞きます。
「うちの子、100まで数えられるんです!算数が得意かもしれません!」
もちろん、それ自体は素晴らしいこと。でも実は「数えられること」は算数の力のほんの一部分にすぎません。
もっと大切なのは―― 「数をまとまりで見る力」 です。
たとえば「5」と聞いて、頭の中にりんご5個がパッと浮かぶような力。
「かぞえたし」に頼る子の落とし穴
この力が育っていないと、子どもは「2+3」をこう考えます。
「2から3つ進めて…3、4、5!だから答えは5!」
これは 『かぞえたし』 と呼ばれる考え方です。指を使って計算する子に多く見られます。
一見できているようで、実は大きな落とし穴があります。
かぞえたしのデメリット3つ
- 時間がかかる
「+9」となると、数えるのにすごく時間が必要です。 - ミスが増える
数える途中で間違えやすく、やる気を失う原因にも。 - 将来の大きなつまずきにつながる
特に1年生算数の最大の山場「くり上がりのあるたし算」で壁にぶつかります。
たとえば「9+6」。
「9はあと1で10だから、6を1と5に分けて、10+5=15」――この考え方ができるのは、6を“まとまり”として見られる力があるからです。
たけちゃんにやってみたチェック
では、たけちゃんはどうなのか?
確認のために「じゃんけんゲーム」をしました。
ルールは簡単。
- パーで勝ったらおはじきを2個
- グーで勝ったら3個
- チョキで勝ったら4個
先に10個以上集めたほうが勝ち、というゲームです。
ポイントは、おはじきをどう取るか。
- まとまりで見られる子 → 3個なら一気に「ガバッ」と取る
- まだ育っていない子 → 1個ずつ「1、2、3…」と取る
結果は…?
たけちゃんは、見事に「ガバッ」と一気取り!
何度繰り返しても、しっかりまとまりで数をとらえられていました。
つまり「数をまとまりで見る力」はある程度育っている。
では一体、どこに困り感があるのか――?
続きは次回、お伝えします!