甘やかしてしまう…?「寛容的な子育て」の落とし穴と、バランス型に近づくヒント

今回は,以前お伝えした子育てのタイプについて深堀してみたいと思います。

子供との接し方に悩まれる方は多いと思います。一般的に,「子育てに正解はない」といわれ,それはある意味正しいのだと思いますが,それだと,我々は,考える手がかりや拠り所がなく,不安になります。

そんな中,心理学者のダイアナ・バウマリンドは、子育ての仕方を4つのスタイルに分類しました。

権威的(Authoritative:民主型、バランス型とも)

権威主義的(Authoritarian:独裁型、厳格型とも)

寛容的(Permissive:消極型、甘やかし型とも)

放任的・無関心(Neglectful/Uninvolved:無関心型とも)

研究から,「①権威的スタイル」が最も望ましいスタイルであることを明らかにしたことは以前のブログでもお伝えしました。

今回は,①以外のスタイルがどうして課題が大きいのかもう少し深堀してみたいと思います。ダメな関わり方を知ることで,理想的な関わり方を考えていただければうれしいです。

今回は,「③寛容的(Permissive:消極型、甘やかし型とも)」です。

子どもが小学生になると、「つい甘くしてしまう…」「好きなようにさせてしまう…」という悩みをよく耳にします。
子どもが可愛いからこそ、「ダメ」と言うのが心苦しい時もありますよね。

しかし、心理学の研究では、**甘やかしすぎる子育て(寛容的なスタイル)**は、思わぬ困りごきを生むことが分かっています。
今回は、家庭でよくある例を交えながら、その課題と、バランスの取れた子育て(権威的スタイル)に近づくヒントをご紹介します。


■ 寛容的(甘やかし型)の子育てとは?

簡単に言うと、

  • 子どもの要求をできるだけ叶えてあげたい
  • ケンカになるのが嫌であまり注意しない
  • ルールはあるけれど、守らなくてもあまり困らない
  • 「まあ、いいか」と流しがち

という関わり方です。

優しい親御さんほど、この傾向に陥りやすいと言われています。


■ 寛容的に育てると何が起きる?よくある家庭例でみる“困りごと”

①「やめなさい」と言っても止まらない

例:
夜9時になってもゲームを続ける子ども。
親が「もうやめようね」と言っても、子どもが渋ると「じゃああと10分だけね…」と延ばしてしまう。

→起こりがちな結果
子どもが「お願いすれば何とかなる」と学んでしまい、言うことを聞きづらくなる。


② 自分で決める力が育ちにくい

例:
「宿題いつやる?」と聞くと「あとで」と言われ、結局親が「そろそろやったら?」と何度も声をかける。

→起こりがちな結果
自分の行動を自分でコントロールする経験が少なくなり、決めごとが苦手に。


③ 我慢が続かない

例:
お菓子は「1日1つ」と決めていても、子どもが「お願い!」と言うとOKしてしまう。

→起こりがちな結果
我慢する練習の機会がなく、感情のコントロールが難しくなる。


④ 叱られ慣れていないため、少し注意しただけでも傷つきやすい

普段あまり注意されない分、たまに叱られるとショックが大きく感じられてしまいます。


■ “甘やかし”を“バランス型(権威的)”に変えるための具体的なコツ

寛容的な親御さんは、もともと「優しさ」や「共感」がとても豊かな方です。
その良さをそのまま活かしながら、**“ルールと優しさのバランス”**を加えるのが権威的スタイルです。

ここでは、明日からできる工夫を紹介します。


① “ルールを先に決めて、あとで変えない”

  • ゲームは「夜9時まで」
  • お菓子は「1日1つ」
  • 宿題は「夕食前まで」

ポイント
ルールを決める時は、親が勝手に決めるのではなく

「どうしたら気持ちよく過ごせるかな?」と一緒に話し合う
ことが大事。

その方が、子どもが納得しやすく、守りやすいです。


② ダメな理由を短く伝える

ただ「ダメ!」と言うよりも、

  • 「明日早いから体が疲れちゃうよ」
  • 「約束を守ると、自分を好きになれるよ」
  • 「安全じゃないよ」

など、理由がある方が子どもは受け入れやすくなります。


③ “選択肢”を渡して、自分で決めさせる

寛容的な家庭では、親が全部許可してしまいがちですが、
権威的スタイルでは「子どもに選ばせる」が鍵です。

例:宿題がすすまないとき
「先に算数からやる?国語からやる?」
→「やりなさい」よりも自分で選ぶことでやる気が出ます。


④ 甘やかしではなく、“共感”を中心にする

寛容的な親御さんは、子どもに寄り添う力が強み。

ただし「共感=いうことを全部聞く」ではありません。

例:ゲームをもっとやりたいと言われたとき

  • 「楽しいよね、気持ちはわかるよ」
  • 「でも約束は守ろうね」

この“わかるよ”の一言があるだけで、子どもは納得しやすくなります。


⑤ できたところは、小さくてもすぐ褒める

  • 約束を守れた
  • 自分で選んで行動できた
  • 我慢できた

こうした場面を見逃さないことが、意欲を育てます。


■ まとめ:甘やかしすぎない「優しいけどブレない親」へ

寛容的な子育ては、親の「優しさ」が土台であることが多いです。
その優しさに、**“ルール”と“一貫性”**を加えるだけで、
子どもは自信を持ち、自分の行動をコントロールできる力が育ちます。

  • 優しく共感する
  • でもルールは守る
  • 選ばせて、決める経験を渡す

この3つを意識するだけでも、
家庭の空気はぐっと良い方向に変わっていきます。


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