たけちゃんの算数成長日記 No.8

たけちゃんの算数成長日記

今回のテーマは、いよいよ「計算力」です。
たけちゃんのここまでの様子をまとめると――

  • 数のまとまりはある程度わかっている
  • たし算の【合併】【増加】、ひき算の【求残】は式にできる
  • ひき算の【求差】は理解しているけど、式にするところでつまずきがある

という状態です。


プリントから見えたこと

お母さんが持ってきてくださった夏休みのプリントを見ると、前半は正解しているのに、後半は空欄が目立ちました。
ただし、数のまとまりはしっかり認識できています。

例えば「3+4」。
「3」も「4」も、まとまりとして理解できているんです。
なのに、いざ式を見ると答えに時間がかかってしまう…。


実際に試してみました

「3+4」という式を見せて答えてもらうと、13秒後に「7」と答えられました。正解はできていますが、やっぱり時間がかかります。

理由を探るために聞いてみました。
「計算するとき、こんな図を頭の中で思い浮かべてる?」とドットカードを見せると…
たけちゃんは首を横に振りました。

つまり、数字だけで処理しようとしているんですね。だから時間がかかる。

この段階で大量の問題を解かせたり、暗記をさせたりしても逆効果。
「算数=つらい」と思ってしまったら、勉強ぎらいになってしまいます。


数字と実物を“つなげる”

大人のように数字だけで処理できるようになるのは、最終段階。
今のたけちゃんに必要なのは、数字と実物を結びつけることです。

そこでドットカードの登場!

「3+4」の式の下にカードを並べて「頭の中で合わせてみてごらん」と言うと、「7」と答えられました。
さらに「たしかめてごらん」と重ねさせると、透明カードのおかげで7の形がパッと見える。

次は「6+2」。
「カードを使っていいよ」と言うと、たけちゃんは嬉しそうに探して並べていました。
「8になりそう!」と言ってからカードを重ね、しっかり確かめることができました。


家庭学習の工夫

ここからはお母さんにもご協力いただき、家庭での宿題のやり方を次のようにお願いしました。

  1. 計算カードを「5+○」「6+○」のように種類ごとに分ける
  2. たとえば「5+1」…「5+9」をやるときは「5のドットカード」を手元に置く
  3. 答えるときはドットカードを見てもOK
  4. 自信がついてきたら、少しずつカードを使わない練習へ

この方法の目的は「数字と実物をつなげる」こと。
「5のドットカード」がヒントになって、頭の中でイメージしやすくなるんです。

今は速さよりも、正しくイメージできることが大事。
次回からは授業の最初にこの計算カードを使い、たけちゃんの計算力の伸びを一緒に見守っていこうと思います。


📌 まとめ

計算が遅いからといって,たくさんの問題をさせたり,暗記させようと考えるのは危険です。
本当に大事なのは、数字の“イメージ”を育てること。
それがないままに,例えスピードが速くなっても,今後の算数でつまずく可能性があります。

実は,たけちゃんのお母さん,計算力をつけるために,たくさんの問題を解かせることを売りにした塾に行かせたこともあったようです。しかし,たけちゃんがそこで辛そうにしている姿をみて,この方法はたけちゃんに合わないと判断し,やめさせたようです。私はこのエピソードをお聞きして,とても素敵なお母さまだと思いました。

算数教育を専門にしていなければ,普通このブログで書いたようなことを知らなくて当然です。知らなければ,何度も繰り返しすれば,計算力はつくはずと思ってしまっても無理はありません。たけちゃんのお母さまも,このブログに書かれてあることをご存知だったわけではありませんが,お子さんの様子を見て,感覚的に合わないと判断されたのです。その感覚が子育てにおいて重要だと思います。算数教育に限らず,巷ではたくさんの教育方法が話題になります。本屋やネットをみると,「教育の正解!」と思えてしまうような魅力的なタイトルやコンテンツがあります。しかし,万人に合う絶対的な方法はありません。そのことを私たち教育に携わる我々大人が常に意識しておくことが,子供をよりよく育てる上で大切だと思います。

こんな素敵な親御さんに育てられているたけちゃんの成長が、これからますます楽しみです😊

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